7.1 はじめに
この章では、Aproc-1をデーターレコーダとして使うためのソフトウェア AprocR について説明します。
AprocR は 記録専用のソフトウェアです。プログラミングの必要はありません。 ウィンドウ上で記録条件を設定して動作させると、Aproc-1 の入力したデータをパソコンのメモリへ記録し、 表示や保存が可能になります。
以下の事項については、AprocS と共通になりますので、本文を参照してください。
- Aproc-1 をご使用するうえでの留意事項は、「1.5 注意事項」 を参照してください。
- ソフトウェアのインストールは、 「2.ソフトウェアのインストール」 を参照してください。
- Aproc-1の外観や信号の接続は、「4.ハードウェア」 を参照してください
- 表示された記録データの操作方法は、 「5.3 ディスプレイウィンドウ」 を参照してください。
第1章 「 Aproc-1の主な仕様 」 からデーターレコーダに関する部分の抜粋です。
項 目 | 性 能 |
---|---|
チャンネル数 | 8(16まで増設可能) |
分解能 | 16ビット |
電圧範囲 | ±10V、±5V |
サンプリング方式 | 全チャンネル同時サンプリング |
入力インピーダンス | 1MΩ |
精度 | ±6LSB(±10V時)、±12LSB(±5V時) |
直線性 | ±2LSB |
アンチエイリアスフィルタ帯域 | 12KHz(±10X時)、10KHz(±5X時) |
入力絶縁 | なし |
過電圧保護 | ±16.5V以内 |
コネクタ | DSUB15P |
最大記録速度(最小記録周期) | 8×100Kサンプル/秒(10μ秒) チャンネル増設時は16×50Kサンプル/秒(20μ秒) |
トリガ入力 | 内部トリガ |
平均化機能 | あり |
Aproc-2の場合は、下記項目が異なります。それ以外はAproc-1と同じです。
項 目 | 性 能 |
---|---|
チャンネル数 | 8(増設不可) |
電圧範囲 | ±10V |
コネクタ | DSUB37P のアナログ入力端子 |
最大記録速度(最小記録周期) | 8×50Kサンプル/秒(周期20μ秒) |
平均化機能 | なし |
7.2 ソフトウェアの起動
操作画面には2つのページがあります。
「設定」のページには2つのパネルがあり、上のパネルで記録条件を、下のパネルでトリガ条件を設定します。
「グラフ」のページは表示画面(ディスプレイウィンドウ)の編集を行います。
Aproc-1を接続せずに起動した場合、USBの通信ができないため、このようなメッセージが表示され、 デモ運転となります。デモ運転ではシミュレーションにより操作を体験することができますす。
7.3 メニューとボタン
3つのメニューとそれに含まれるアイテム、および同機能のボタンを示します。
記録条件や表示の設定は「プロジェクト」で管理されます。 プロジェクトは、拡張子を "alp" としたテキストファイルです。 使用中のプロジェクトファイル名はウィンドウのタイトルバーに表示されます。
メニューとアイテム | ショート | ボタン | 説 明 | |
---|---|---|---|---|
フ ァ イ ル |
新規プロジェクトを 作る | N | なし | 新規プロジェクトをつくるために初期化します。デフォルト設定になり、 タイトルバーの表示は「保存されていません」となります。 |
プロジェクトを開く | O | 既存のプロジェクトを開きます。 | ||
プロジェクトを 保存する | S | プロジェクトを上書き保存します。 | ||
プロジェクトに名前を つけて保存する | A | 現在のプロジェクトを別名で保存します。 | ||
終了 | Q | AprocRを終了します。 | ||
操作 | 記録開始 | W | トリガ待ち状態になり、トリガ条件が満たされるか、メニューから「手動トリガ」が選ばれると記録が始まります。 トリガ「なし」の場合は直ちに記録が始まります。 | |
記録停止 | Z | 記録またはトリガ待ちを中断します。記録中の場合はそれまでに記録されたデータを表示します。 トリガ待ちのときは何もせずに以前の状態に戻ります。 | ||
手動トリガ | T | 強制的にトリガ状態にして記録を開始します。「記録開始」操作されるまでは無効です。 ボタンは「手動トリガ」モードで現れます。 | ||
ヘルプ | 操作方法 | M | なし | マニュアルを表示します。 |
バージョン情報 | V | なし | AprocRのバージョンを表示します。 | |
有馬電子機材 | H | なし | 有馬電子機材のホームページを開きます。 |
7.4 操作の手順
データーレコーダの起動からデータ保存までの一連の手順を以下にまとめました。
操作手順 | 選択 | 内容 |
---|---|---|
プロジェクトの 選択 | AprocRを起動 | 前回終了時のプロジェクトが自動的に呼び出されます。 |
AprocRを初めて起動 | デフォルトの設定になります。
修正後プロジェクト名をつけて保存します。 | |
「ファイル」→「新規設定」 | ||
プロジェクトを開く | 既存の設定を利用します。 | |
条件設定 | 記録条件の設定 | 「設定」ページ上側パネルを編集します 。→ 7.5 記録条件の設定 |
トリガの設定 | 「設定」ページ下側パネルを編集します。 → 7.6 トリガの設定 | |
グラフの編集 | 「グラフ」ページを編集します。 → 7.7 記録表示の設定 | |
プロジェクトの 保存 |
上書き保存 | 現在開いているプロジェクトファイルを現在の設定で置換します。 |
別名で保存 | 現在の設定に新しいプロジェクト名をつけて保存します。 | |
信号の接続 | 信号の接続方法は、4.3 接続手順 を参照してください。 | |
記録開始 | トリガなし | 「記録開始」 と同時に記録が始まります。 |
手動トリガ | トリガ待ち状態になり、 ボタン を押すと記録が始まります。 | |
上昇(↑),下降(↓) または交差(↑↓) | トリガ待ち状態になり、 トリガ条件が一致した時から記録が始まります。 メニュー「操作」→「手動トリガ」で強制的に記録が始まります。 | |
記録中止 | 記録中であれば記録を中止し、採取した部分のデータを表示します。トリガ待ちであれば、 「記録開始」する前の状態に戻ります。 | |
表示データの操作 | 記録時間が経過するとデータが画面に表示されます。画面の操作方法はAprocSと同一です。 → 「5.3 ディスプレイウィンドウの操作」 | |
データの保存 | 全データの保存 | メニュー「全データの保存」を選び、ファイル名を指定します。 |
表示部分のみ保存 | データの一部だけを保存したいときは、 画面を拡大して保存したい部分を表示し、ボタンを押してファイル名を指定します。 | |
AprocRの終了 | 設定変更後に保存していなければ警告が出ます。 |
7.5 記録条件の設定
「設定」ページの上側の枠にある記録条件を設定します。 5つありますが、記録周期と記録周波数はどちらか1方だけ設定すればよいので、実質的には4つです。
項目 | 内容 | 選択肢 | ||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
記録周期 または 記録周波数 |
記録周期または周波数をブルダウンメニューから選択します。 Aproc-2の場合、最大記録周波数は50KHzです。 |
| ||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
記録時間 | 記録する時間をプルダウンから選ぶか、または数値を入力します。
数値を入力する場合、単位はs(秒)またはms(ミリ秒)を小文字でつけてください。
入力後Enterキーを押すと記録に必要なメモリ量がステータスバーに表示されます。 |
任意 | ||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
入力レンジ (Aproc-1のみ) | 入力する電圧範囲をプルダウンメニューから選択します。
Aproc-2の場合は±10Vに固定されます |
±10Vまたは±5V | ||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
平均化数 (Aproc-1のみ) |
サンプリング時間に余裕がある場合、平均化を行うことによって分解能が向上することがあります。
余裕がない場合は警告が現れ、可能な回数に修正されます。
設定可能な平均化数は以下の○印がついた条件です。例えば、記録周波数が10KHzの場合は4回までの平均化が可能です。
|
「設定」ページ下側のパネルにあるトリガ条件を設定します。
トリガを使う場合(トリガモードが「なし」以外の場合)、 記録開始ボタンを押すと、トリガ発生を待つ状態になり、 その後トリガが発生すると実際の記録が始まります。 なお、デモ運転ではトリガの選択は無視されます。
項目 | 説明 | ||
---|---|---|---|
トリガ モード |
なし | 記録開始ボタンを押すと同時にトリガが発生し、 記録が始まります。 トリガ位置は 0%になります。 |
「トリガチャンネル」、 「しきい値」 の設定は無効です。 |
手動 | トリガボタンを押すとトリガが発生し、記録が始まります。 停止するときはメニュー「操作」から「記録中止」します。 | ||
上昇(↑) | 選択した信号が、しきい値よりも大きくなったときトリガが発生し、記録が始まります。 最初からしきい値よりも大きい場合は、いったんしきい値よりも小さくなった後、 再びしきい値よりも大きくなるまでトリガは発生しません。 → 例1 | ||
下降(↓) | 選択した信号が、しきい値よりも小さくなったときトリガが発生し、記録が始まります。 最初からしきい値よりも小さい場合は、いったんしきい値よりも大きくなった後、 再びしきい値よりも小さくなるまでトリガは発生しません。 → 例2 | ||
交差(↑↓) | 選択した信号が、しきい値を横断して増加または減少したときトリガが発生し、記録が始まります。 →例3 | ||
トリガチャンネル | トリガ種類に「上昇」、「下降」または「交差」を選んだ場合に、 トリガ条件の判断に使う信号のチャンネル番号を選択します。 | ||
しきい値 | トリガ種類に「上昇」、「下降」または「交差」を選んだ場合に、 しきい値の電圧を指定します。単位はボルト[V]です。 | ||
トリガ位置 | トリガの発生した時刻を全記録時間のどこに位置させるかを%で指定します。 例えば、記録時間が100ms、トリガ位置が40%であれば、トリガ発生の40ms前から記録を開始し、トリガ後60msで終了します。 実際にはトリガ前から記録は始まっていて、トリガ時刻よりも40ms以前の記録を破棄して表示しています。 したがって、この場合、記録開始ボタンを押してから40msを経過する前にトリガが発生すると、 記録開始操作以前のデータはありませんので、その部分は表示されません。 → 例4 |
トリガの例です。
例1 | 上昇(↑) | |
---|---|---|
例2 | 下降(↓) | |
例3 | 交差(↑↓) | |
例4 | 起動直後に 上昇(↑) |
タグ名「グラフ」のページでは記録データの表示を設定します。 下の例は、デフォルトの設定画面とその設定により描かれたデモ用のデータです。 「グラフ」ページの「信号選択」で設定された4つの枠(フレーム)と同じように、 表示ウィンドウにも4つのグラフが描かれます。
「グラフ」ページの編集方法を示します。「信号名の変更」以外は AprocS のオペレーションウィンドウの 「5.2.5 グラフの編集」 と同じです。
編集項目 | グラフの編集方法 |
---|---|
信号名の変更 | 信号一覧の中で名前を変更したいチャンネルの番号ボタン (「0」〜「7」と描いてある小さいボタン)を押すと、現在の名称が「信号名変更」の欄に表示されます。 それを修正してENTERキーを押すと変更されます。 |
フレームへ信号を追加 | → 「5.2.4 グラフの編集」 と同じです。 |
新しいフレームの追加 | |
信号やフレームの削除 | |
信号の移動 | |
信号のコピー | |
フレームの移動 | |
フレーム内で信号の移動 |
サンプリング速度が速くなると、このようなメッセージの現れることがあります。
これは、Aproc-1 からデータを受信するときに取りこぼしが発生したことを示しています。 このデータを記録したのが以下の例です。 記録周期0.01ミリ秒のデータですが、24行と25行の時間差は0.02ミリ秒になっていて、 25行の最後には「不連続発生」という警告が入っています。つまり、0.23ミリ秒のデータが受信されていません。
データの不連続は、B列の count というデータに基づいて判断されます。 これは Aproc-1 から毎回決まった数(この場合は1)ずつ増えて送られてくる8ビットのデータです。 その24行目と25行目の間に不連続が発生しています。
不連続の原因は、USBによる通信の処理が間に合わないことによるものです。 対策として、サンプリング周期を長くするか、高速のパソコンを使う等を行ってください。
前のページ | このページの先頭 | 改訂 2016/01/28 |